タルコフスキー映画のHDリマスターにおける色彩表現の違いについて

映画や映像にとって、色彩の表現はこれまで以上に身近になってきました。
フィルムの時代は、使用するフィルムのメーカーや、現像方法など、物理的な要素で映像の主な色彩が決まっていました。
しかし現在は、デジタルカメラの進化により、画面の明暗や色彩情報をそのまま「生の状態」で記録でき、クリエイターが編集ソフト上で自在に色彩をあやつれるようになってきました。
グレーディングと呼ばれる工程がそれのことで、ここ数年で「カラリスト」という職業が一般的になりました。

さて、これまで、古い映画の「HDリマスター版」というものがたくさん発売されてきました。
これは過去のフィルム映画をスキャニングし、デジタル補正することで、DVD画質から、HD(ブルーレイ)画質へアップし、再発売したものです。
画面がより鮮明になっており、ファンには非常に嬉しいことですが、色彩まで大きく変わっている映画も少なくありません。

アンドレイ・タルコフスキー(1932-1986)は「映像の詩人」と呼ばれるソ連の映画監督です。
彼の映画も、リマスター版として数年前に再発売されました。

ファンの中で物議をかもしたのは、そのリマスター版の色味についてでした。
もともとの色味よりだいぶ青みがかっており、若干色の入っていたモノクロシーンも完全なグレーに変えられていたのです。

どちらの映像が良いかというのは、タルコフスキーに聞いてみなければわかりませんが、ここでわかるのは、カラリストの技術や感性が映像の表現に大きく影響しているという事実です。
色の好み、という程度の話ではなく、映像の解釈すらも変化させてしまうほど、カラリストの責任は重大になっています。

かつては、上映する映画館によっても明暗や色味が異なっており、最終的な色味は劇場まかせで、制作者は諦めるしかありませんでした。
デジタル編集、デジタル上映が主流になってきた現在だからこそ、色彩設計も重要になってきたと言えると思います。

みなさんはどちらの映像が好みでしょうか?

この記事を書いた人:miya

映像ディレクター/ビデオグラファーとして活動しています。企画から撮影編集まで、映像のことならなんでもこなします。撮影・監督した短編映画が海外映画祭で上映されました。お仕事のご依頼は宮部映像事務所まで。

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