映画から見るデンマーク 名作揃いの北欧・デンマーク映画

映画制作
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8月にデンマークに行ってきたので、せっかくなので映画からデンマークを見てみたい、と思っていました。
先日、 ツタヤで、今年日本でも公開になった「THE GUILTY/ギルティ」(デンマーク映画)をレンタルしたのですが、オリジナリティあふれる素晴らしい作品!!
デンマーク映画と聞いても、正直あまりピンと来ませんよね? でも実はデンマークの映画監督は個性派揃い。これからデンマーク映画をいくつかピックアップしてみたいと思います。
まずは、コペンハーゲンで立ち寄ってみた映画館のご紹介から。

コペンハーゲンの映画館「CINEMATKET」

デンマークの首都コペンハーゲンは小さい町ですが、映画館は10ほどあるようです。その一つ、「CINEMATKET」は同じ建物にビデオライブラリーがある映画館。ビデオライブラリーは14000以上の映画や資料がコレクションされていて、全部無料で見られるそうです。映画館は、比較的マニアックな単館系の映画を上映しているようでした。(この中に映画学校もある?)東京だとアップリンクみたいな映画館かなと感じました。

世界中、みんな大好きタランティーノ

8~9月の特集は、「タランティーノ VS 映画史」
ウィンドウには、ニールス・アルデン・オプレヴ(デンマークの映画監督)、ジョン・ル・カレ(作家)、細田守(映画監督)、アンドレイ・タルコフスキー(映画監督)、マルグリット・デュラス(作家)、イザベル・ユペール(女優)、ジャック・ターナー(映画監督)と書かれています。そうか、今、デンマークで日本人監督といえば、細田守監督になるのか、という発見がありました。幅広いジャンルの映画を上映しているようです。

今年日本公開のデンマーク映画

THE GUILTY/ギルティ (2019年日本公開)

2/22(金) 公開 『THE GUILTY/ギルティ』予告編

ツタヤで何気なく借りたデンマーク映画。ワンシチュエーションムービーの傑作でした。監督・脚本はグスタフ・モーラー。31歳の若手で本作が長編デビュー作。とても個性的な作品です。なんというか、「個性」というと「感性」として考えてしまいがちですが、「個性」=「アイディア」なんだ、というアイデンティティを強く感じます。
サンダンス映画祭の観客賞を獲り、アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされました。
監督はスウェーデン人で、デンマーク国立映画学校を卒業しています。デンマーク国立映画学校というのは、毎年15人くらいしか入れない少数精鋭の映画学校なのだそうです。デンマークなので授業料は無料なのでしょうか。ちなみに授業はデンマーク語でおこなわれるそうです。

STAFF/CAST|映画『THE GUILTY ギルティ』公式サイト|大ヒット上映中
88分、試されるのは、あなたの<想像力> 映画『THE GUILTY ギルティ』公式サイト 大ヒット上映中

ドリーミング村上春樹(2019年10月公開)

映画『ドリーミング村上春樹』予告編

今月から公開されているドキュメンタリー。私はこの作品がとっても気になっています。20年に渡り村上春樹の翻訳を手掛けたデンマーク人、翻訳家メッテ・ホルムを追った作品です。彼女は英語からデンマーク語に訳された村上作品を読んで、日本語からデンマーク語に直接翻訳する必要性を感じたそうです。
村上春樹の文体は英米文学がベースにありますし、英語に非常に馴染みやすいと思われるのですが、そこをあえて日本語から翻訳すべきと思った彼女の感性をぜひ知りたいですね。

村上春樹作品、デンマーク語翻訳者のドキュメンタリー
村上春樹の小説は世界各地で翻訳されている。メッテ・ホルムさんはデンマーク語版の翻訳者だ。2001年に「ねじまき鳥クロニクル」を翻訳して以来、村上作品を一手に引き受けてきた。彼女の翻訳で村上ファンにな

ボーダー 二つの世界(2019年10月公開)

映画『ボーダー 二つの世界』予告編|10/11(金)公開

第71回カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリ作品。監督の アリ・アッバシはイラン系デンマーク人の新鋭。 『ぼくのエリ 200歳の少女』 の原作者 ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストが自分の原作を共同脚本、というだけで、もうこれはワタシ的には絶対マストな作品。スウェーデン・デンマーク共同製作。デンマークとスウェーデンは隣国ということもあって、映画の人材も行き来し、共同制作の映画も多いようです。この映画の言語はスウェーデン語です。
『ぼくのエリ 200歳の少女』 のような、トラディッショナルで幻想的な耽美世界。あの独特な北欧ファンタジーの雰囲気、大好きです。

アダムズ・アップル(2005年製作 2019年10月公開 )

映画『アダムズ・アップル』予告編

監督のアナス・トマス・イェンセンは、デンマークの脚本家・映画監督。主演は、同じくデンマーク・コペンハーゲン出身のマッツ・ミケルセン。これを調べるまで、マッツ・ミケルセンがデンマーク人だと知りませんでした。最高にクールな俳優ですよね。テレビドラマ『ハンニバル』のレクター役は、超はまり役だったと思います。
この『アダムズ・アップル』。予告からしか情報を得ていませんが、また独特の世界観(クセ?)のある映画ですね。これはヒューマンドラマではなくコメディなのでしょうか…。なぜ2005年の作品が今に公開、というところも気になるところです。

映画史に残るデンマーク映画

ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009年)

『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』予告編

コペンハーゲンの映画館でも特集されていたデンマークのニールス・アルデン・オプレヴ監督作。ハリウッドリメイクされた デヴィッド・フィンチャー 版の『ドラゴン・タトゥーの女 』 の方を見た方は多いと思います。でもワタシ的には、この最初に作られたオプレヴ版『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』を断然推したいと思います。(でも暴力シーンが見ていられない…)
原作者のスティーグ・ラーソンはスウェーデン人で、原作の小説「ミレニアム」三部作を書き上げた後、出版前に死去しています。本は人口1000万のスウェーデンで300万部売れ、全世界で8000万以上のベストセラーになりました(2015年時点)。作品の舞台もスウェーデンになります。
この「ミレニアム」に登場するリスベットという主人公のキャラクター設定が秀逸なのですが、それをあのように具現化した監督の手腕は素晴らしいと思います。

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年)

映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」日本版劇場予告

ワタシ的に取り上げたくないが、取り上げざるを得ない作品。なぜなら、個人的ワースト作品の5本の指に入るから。しかし、監督のラース・フォン・トリアーは、本作でデンマーク映画を一躍世界に認めさせた人物です。ビョークが主演したのも話題になり、第53回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞しました。

しかし、しかし…、なんであんなに救いようのないストーリー何でしょうか!
見たのは20年前なのに、あの悲しさだけは忘れられない…。

私はこの映画を見て、反動として、「映画とは救いがなければならない」というのを強く強く意識するようになりました。(あくまで個人的な見解です)

ドライヴ(2011年)

映画『ドライヴ』予告編

カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。私はこの『ドライヴ』を見て、監督のニコラス・ウィンディング・レフンは天才だと思いました。映画におけるデンマークのセンスというものを私に最も印象付けた作品です。レフンはデンマークコペンハーゲン生まれ。 レフンは、デンマーク映画界からイギリス~アメリカとステップアップし、この映画はハリウッド製作です。 レフンの作風として、独特の色彩感覚があるのですが、それは彼が色覚障害を持っており、中間色が認識しづらいため、それ故にコントラストの強い画面構成を好むようになったからということです。そして、この『ドライヴ』は、何よりシーンの構成が素晴らしい…。主演のライアン・ゴズリングも、一番役柄が合っていると思います。(ラ・ラ・ランドよりも!)
しかし、レフン監督、天才ならではのムラっけがあるというか、作品の良し悪しの差が激しい印象。そして『ドライヴ』以降の作品は、暴力をファッション的に演出していく傾向が強くなっていくのが私はあまり好きではありません…。
アマゾンプライムでオリジナルドラマ『TOO OLD TO DIE YOUNG』が公開されましたので、その真価やいかに…。

TOO OLD TO DIE YOUNG Official Trailer (2019) Nicolas Winding Refn, TV Series HD

まとめ・その他の情報

こうしていくつか見ていくと、なんとなくデンマークの感性や芸術性というものが映画を通して感じられると思います。それは、北欧のトラディッショナルな部分と現代的にデザインされた部分の交差するところに、じわっと表れているような気がします。
広い意味での現代的なデザイン性を取り入れつつも、バックグラウンドに伝統や自然がある。交じり方は違えども、日本にもそういうところがあるので、それが、北欧への親近感・共感にも繋がっているのかなと思ったりします。

そして、個性をとことん伸ばす、という点においては、デンマークはかなり先進的です。 ニコラス・ウィンディング・レフン のような監督が出てくるのは、社会の中に個人の個性を最大限に伸ばしてナンボという意識がベースとしてあるからだと思います。そして自由に撮るっていう当たり前のことが、当たり前にできるんです。きっとデンマークの映画学校では、それが教育の中で徹底されていたんじゃないかと想像します。日本では逆ですよね? 日本映画の多くは条件から作られていきます。

デンマークからはこれからも個性的な映画監督が次々と誕生していくでしょう。

しかし、良い面ばかりではありません。 『 ダンサー・イン・ザ・ダーク』の公開後、ビョークは監督をセクハラで訴え、撮影現場は監督の行動を黙認するような空気があったと痛烈に批判しました。その権力と閉塞した空気感、闇は、どこの国にでもあるものなんだと思わされました。それは人であるがゆえの「業」なのかもしれません。

デンマークとスウェーデンの共同制作など、文化面も含めて隣国とどのような関係があるのかは、もっと調べてみたいところです。人口の規模で見ていくと、デンマークは 約578万人 、スウェーデンは約1012万人。日本の都市で例えるなら、デンマークは川崎市と横浜市を合わせたくらい、スウェーデンは東京くらいの人口密度です。そのような規模で映画を作っていくには、共同制作が欠かせないでしょうし、海外に向けての配給が主軸になるはずです。

最後に、 いくつかリンクをご紹介させていただきます。 デンマーク映画で検索すると意外と情報はあるものですね。参考にさせていただきました。ありがとうございました。

デンマークのおすすめ映画作品 | Filmarks
デンマークのおすすめ映画作品を400作品掲載中。Filmarks(フィルマークス)は、86285作品、7410万件以上の映画レビュー(感想・評価)数を誇る映画情報サービスです。
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